「おたからや」の買取専門店は株式会社いーふらんの代表的な事業でご存じの方が多いのではないでしょうか。街で見かけることも増えたおたからやの店舗は、次々と増えており現在の店舗数は1300もあり、中古品買取業店舗数では5年連続で一番となっています。

フランチャイズ加盟店も積極的に募集していますが、過去の事案が気になり加盟を悩んでおられる方は今からの記事をご一読ください。株式会社いーふらん事件について、しっかりと説明していきますね。

株式会社いーふらん事件はなぜ起きた?

株式会社いーふらん事件を簡単に説明していきます。

「おたからや」のフランチャイズ加盟店が、契約解除後に競業行為となる中古品の買取事業を行っていたことが発覚しました。

株式会社いーふらんはフランチャイズ加盟時の競業を契約時に禁止しており、競業を行っていたフランチャイズ加盟店側へ違約金の請求を行い起きた事件です。

株式会社いーふらん事件だけでなく、フランチャイズ加盟店との契約解除後の競業は問題になることが多く、実例も複数あり、本件が特別珍しいわけではありません。

いーふらん側の主張内容

フランチャイズ加盟時の契約書では契約終了後、競業行為があった場合には違約金の支払いを定めていました

違約金の金額はブランドや経営ノウハウ、運営上のサポートなどのメリットを株式会社いーふらん側から受ける代わりにフランチャイズ加盟店が支払うロイヤリティの支払い義務、競業禁止や違反した場合は違約金の請求を行うことを契約時に説明も行っていました。

株式会社いーふらんは、契約時の内容通り競業を行ったフランチャイズ加盟店へ違約金を請求しました。

契約終了後に元加盟店側で競業行為が行われた

フランチャイズ加盟店は株式会社いーふらんとの契約終了後、違約行為にあたる競業事業を行いました。契約解除は双方の合意の上で、一切の強制等は無く法の流れに沿って行われています。

そもそもsフランチャイズ契約終了方法は大きく分けて4つあります。契約期間内に契約事項に相当した場合、加盟店側から契約解除ができる任意解約、契約期間満了による契約終了、双方合意の上で契約解除を行う合意解約、契約違反による契約解除です。

本件では合意解約であり、合意解約の場合は双方納得した上で契約解除となるため契約解除時に発生する違約金が発生しないとされています。

その変わりに正当な理由が必要となりますが、フランチャイズ制度での合意解除は難しいケースが多く、契約解除時に違約金を支払うことが多いのが一般的です。

しかし、株式会社いーふらんは合意解約を行っています。それにも関わらず、フランチャイズ加盟店側は競業事業の開始を事前に申し出たわけでもなく株式会社いーふらんは後にその事実を知っています。事実が発覚後、フランチャイズ加盟店側は株式会社いーふらんから違約金の請求をされました。

【補足】競業行為とは

競業行為とは、企業の従業員が在職中もしくは退職後に情報等を他社へ漏えいしたり、競業会社を起業することです。

競業関係の企業に転職することも競業行為とみなされることもあります。様々な事例はありますが、要約すると在職中は情報漏えいの違反行為、退職後は従事する業務が競業であれば競業行為にあたる可能性があります。

世間では在職中よりも退職後のもめごとが多く、本件も同様であると考えます。

【補足】競業行為の法的効力

在職中の競業行為については大多数で違法になることは明白ですが、退職後の競業避止義務を課すということの法的効力が有効であるかというのは、様々な状況を加味したうえで決定されます。

一概に競業行為の法的効力があると言えない理由としては、競業行為の禁止は日本国憲法で定められている【職業選択の自由】の侵害となり得ることもあるからです。

入社時もしくは退職時に競業避止義務の書類へのサインも拒むことが出来ますし、サインを行っても有効性があるとは限りません。

万が一競業を法的に認めてしまうと、競合他社の情報を知るために不正なヘッドハンティングも増えるでしょうし、企業は情報漏えいにより経済活動が立ち行かなくなってしまいます。

経済産業省でも企業の情報や技術が不当に盗まれないように政策を掲げていますので、競業禁止の法的効力は今後更に注目される可能性があります。

加盟店側の主張内容

加盟店側が競業禁止は営業の自由を害していると訴え、競業禁止に反した場合の違約金請求は無効だという主張で株式会社いーふらんへの違約金の支払いを拒み、日本国憲法で保障されている「職業選択の自由」を強く主張しています。

競業禁止の項目は営業の自由に反するもの

競業禁止を行うと、職業の選択肢が失われてしまうことになります。転職するのであれば、同業種の方が知識も経験も生かせますし、企業側も全くの未経験よりは有り難い部分もありますよね。

職業の選択肢が失われるということは関連して経済的困窮にも繋がってしまいますが、企業の保障も必要となるため、禁止期間、場所、職種の限定など規定を設け競業禁止が合理的であるかを判断するケースが一般的とされています。

【補足】営業の自由とは

経済的自由権の一つで日本国憲法22条・29条で定められている職業選択の自由で公共の福祉に反しない限り保障されているものです。

簡単に言うと、売春等の犯罪や人に迷惑をかけなければ仕事や営業は自由に行って良いと憲法で定められているのです。

だからこそ私達の生活と経済活動が成り立っているわけです。

【補足】営業の自由の法的効力

我が国の憲法で定められた権利ですが、100%認められるわけではありません。過去の判例を見ても、競業禁止との兼ね合いは非常に慎重に判断されています。

労働者だけでは無く、企業の保障も行い、状況に応じて公正中立に判断をしないといけない難しい問題です。

契約書の内容は無効であり違約金は払わない

フランチャイズ加盟店側は「営業の自由」を主張し、加盟時に契約書で禁じられていた競業行為を行ったにもかかわらず違約金の支払いを拒みました。しかし、契約時に株式会社いーふらんからの説明を受け、納得してフランチャイズ加盟を行っているのです。

契約をする際に株式会社いーふらんは強制も強要も一切行っていません。フランチャイズ加盟店側の主張を言い換えるならば、契約時内容は無効で株式会社いーふらんの経営ノウハウを盗み競業を行うことは権利で認められていて違約行為ではないということです。

いーふらんの主張に正当性がある理由

株式会社いーふらんとしては、契約時に定めた内容通りに事を進めており一切の非はありません。

フランチャイズ加盟店は、契約内容に納得して株式会社いーふらんと契約を行っています。

契約内容には勿論、違約金や競業禁止の内容が盛り込まれています。また、株式会社いーふらんの契約内容にも一切の問題はありませんでした

フランチャイズ契約書で競業の禁止を示している

買取業だけでなく飲食店などのフランチャイズ加盟時の契約書は、テンプレートや細かい内容は異なっていたとしても競業の禁止を示しているものが一般的です。

大きい会社の看板を背負い、ノウハウを学び、そのメリットの対価としてお金を支払うのです。競業を禁止しないと、対価を支払うのが嫌で企業の手法を盗まれるのが横行してしまいますよね。

飲食店やコンビニをはじめ様々なフランチャイズがある中、フランチャイズ契約書で競業禁止を示さなければ企業を守ることが出来ないからです。

違反に関する違約金も明記している

競業禁止だけではなく、違反を行った際の違約金についての明記のある契約書も大半です。

契約書を作成するのは司法書士や行政書士など、法律のプロフェッショナルですので、契約書は法的根拠に基づいた内容であることが証明されますね。

いーふらん事件で争われた焦点

株式会社いーふらんは競業禁止に反したことで違約金を請求しましたが、フランチャイズ加盟店側は営業の自由を損なうため違約金の支払いを拒否しました。

契約書で設定された違約金が適切か

契約解除後、競業禁止に違反したため株式会社いーふらんではロイヤリティ36カ月分の約2,300万円をフランチャイズ加盟店へ請求しました。

ロイヤリティはブランドを背負い事業を展開するだけでなく、様々なノウハウを学ぶなどのメリットの代わりにフランチャイズ加盟店側が加盟先の本部に金銭を支払うことです。

「おたからや」程の大きな看板があれば、恩恵は底知れないでしょう。

1から看板を掲げて事業を行った場合とは比べ物にならない収益があったはずです。フランチャイズ加盟金や違約金、ロイヤリティについての規定は無く企業が決定するもので、株式会社いーふらんの契約書で設定された違約金は適切と言えるでしょう。また、違約金は企業が決定するものでその額に規定はありません。

実際に競業が行われたか

株式会社いーふらん事件では実際に加盟店が中古品買取の競業を行っていました。

競業が行われたことを、株式会社いーふらんが後に知り加盟店側へ違約金の請求を行いました。

気になる株式会社いーふらん事件の結果は?

契約違反か、職業の自由かの論点となる気になる結果ですが、結果としてはフランチャイズ加盟店が株式会社いーふらんへロイヤリティ6カ月分の違約金を支払うこととなりました。結果について詳しく見ていきましょう。

いーふらん側が主張した競業行為が認められた

フランチャイズ契約終了後、競業の禁止を課すことは本判例では認められました。

【結論】違約金が発生するのは事実!いーふらんの主張は正しい

契約時に合意した競業の禁止に違反したフランチャイズ加盟店側は、株式会社いーふらんとの約束を破っています。フランチャイズ加盟店は株式会社いーふらんから経営ノウハウ等かなりのメリットを学び、それを持ち逃げしているのです

会社を守るために違約金を請求する、株式会社いーふらんの主張は非常に正当性がありますよね。株式会社いーふらんはフランチャイズ加盟から契約解除まで法的根拠に基づいた段階を踏んでおり、流れについて非はありません。

関連リンク:フランチャイズで起きうる事例といーふらんの対応について